日本一心豊かなローカル線へ 和歌山電鐵貴志川線
8月10日は和歌山に向かいました。JR和歌山駅から貴志へ和歌山電鐵貴志川線が出ています。今回の旅行記の最後として、和歌山電鐵貴志川線を訪れました。
出発を待つ 貴志川線 2010年8月10日 和歌山で筆者撮影
和歌山電鐵貴志川線はその経歴に紆余曲折があり、1961年に南海電鉄の路線となりました。南海でも離れ小島であった路線でしたが、この路線でも利用客減少などの影響により廃止が取り沙汰されました。けれども、沿線地域の存続に向けた取り組みなどから、岡山電気軌道が事業を引き継ぎ和歌山電鐵を設立して、2006年から現在の和歌山電鐵で運営されています。
では和歌山から乗車します。車両は南海電鉄から譲渡された2270系と呼ばれる車両で、元は高野線で難波から極楽橋を結んでいた急行で使用されていた22000系になります。2000系導入により支線系統に転用され、貴志川線にもやってきました。貴志川線では前面が非貫通になり、ワンマン運転を行うため側ドアの位置が移設され運転台背後のドアが片開きになるという変更点があります。和歌山電鐵発足に際して、南海電鉄から引き継がれました。
和歌山を出発すると、しばらくは住宅地の中を進みやがて田畑が見えてくる風景となります。そして、車庫のある途中駅の伊太祁曾で下車して撮影してみました。
2270系 2010年8月10日 伊太祁曾で筆者撮影
留置中の「おもちゃ電車」 2010年8月10日 伊太祁曾で筆者撮影
庫の中にいた「いちご電車」 2010年8月10日 伊太祁曾で筆者撮影
和歌山電鐵に移管後は大胆にリニューアルした車両が登場しています。伊太祁曾の車庫に停車していた「おもちゃ電車」「いちご電車」、この車両は九州新幹線「つばめ」などのJR九州の列車や、親会社の岡山電気軌道の新型車をデザインした水戸岡栄治氏がそのデザインを手がけました。これら車両は注目を集めています。
そうこうしているうちに「おもちゃ電車」が和歌山行きとして出庫してきました。
出庫した「おもちゃ電車」 2010年8月10日 伊太祁曾で筆者撮影
今回は1日乗車券を使用していたことから、「おもちゃ電車」に1駅吉礼まで乗車してみることにしました。車内は木材が使用され、木製の本棚などが設けられたユニークなもので、また車内には昔懐かしい「ガチャガチャ」がいくつも設置され、各キャラクターグッズのほか、「おもちゃ電車」のバッジなどが出てくるものがありました。
1駅吉礼まで戻った後、到着した貴志行きに乗車して終点の貴志に到着しました。
到着した「たま電車」 2010年8月10日 貴志で筆者撮影
吉礼から乗車した列車は「たま電車」と呼ばれる、やはり水戸岡鋭治氏がデザインした車内に本棚があるユニークな車両でした。この電車のモチーフになった「たま」は、貴志駅で飼われている猫のことで、キャラクターグッズも各種発売され、今や貴志駅の「スーパー駅長」としてこの猫を見に貴志へ訪れる方も多くいらっしゃる、和歌山電鐵には欠かすことができない存在になります。実際に和歌山電鐵の執行役員にもなっています。貴志駅はつい最近建て替えられ「たま」をイメージした建物になり、駅舎内には「たま」のいる場所があって、そこには大勢の人が集まっていました。まさにスーパー駅長、人を呼ぶ「招き猫」にといっても過言ではないかと思います。
貴志からは再び「たま電車」で和歌山に戻ります。途中の伊太祁曾では停車時間がありましたので、撮影できました。
2010年8月10日 伊太祁曾で筆者撮影
2010年8月10日 和歌山で筆者撮影
「たま電車」も大変な人気で、記念撮影をしている方を多く見かけました。
こうして、存続することができた貴志川線に乗車してきました。ユニークな車両やネコ駅長の存在で注目を集めているローカル線になります。この鉄道の存続にに向けた取り組みはまだ始まったばかりです。和歌山を訪れましたら、ぜひ乗車してみたい路線ではないかと思います。
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コメント
こんばんは。
今、貴志川線に限らず、地方の中小私鉄や第三セクターは苦境の中にありますが、その苦しい経営環境の中でどのように「お客様」を増やそうとする、そういう姿勢をこの記事を読んで改めて感じました。いつか貴志川線に訪れてみたいと思いました。
それと、お知らせがあります。私のブログ「鉄道気軽にお出かけ紀行」を閉鎖することになりました。なので、大変お手数おかけしますが、リンク集から鉄道気軽にお出かけ紀行を削除していただきますようお願いいたします。
投稿: ユーブ | 2010.08.16 20:50
ユーブさん、コメントをありがとうございます。
南海電鉄時代に廃止が打ち出された貴志川線、和歌山電鐵となってからは、ユニークな列車や貴志駅の「たま」など話題づくりで多くの乗客を獲得しています。それだけ取り組みが実になりつつあるのではないかと思います。
ブログ閉鎖の件、残念ですが、また再開されることを期待いたします。
投稿: Kaz-T | 2010.08.17 23:48