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2008.05.03

葛の如き縦横に蔓さし延ばす 伊予鉄道郊外電車

伊予鉄道は、松山市内を走る市内電車のほか、松山市を起点に郊外電車も運営しています。松山市から海沿いの港、高浜へ向かう高浜線、内陸に進む横河原線、そしてこちらも海に向かう郡中線があり、高浜線と横河原線は直通運転を行っています。郊外電車についても撮影しました。

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伊予鉄郊外電車の主力 700系 2008年4月29日 古町で筆者撮影

伊予鉄道の郊外電車で主力となっている車両は、元京王帝都電鉄(現:京王電鉄)からの譲受車になります。松山市から高浜線に乗車して、海が見える梅津寺で撮影してみました。まずは800系です。

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湘南顔の800系 824 2008年4月29日 梅津寺で筆者撮影

この車両は、800系と呼ばれる車両で京王時代は2010系と称していた車両になります。2010系は1959年から京王線系統に導入が始まった車両で、湘南スタイルの高性能車でした。京王時代の外装は一時期アイボリーにエンジの帯という時期もありましたが、緑色の車体で末期には俗に「グリーン車」と呼ばれていた車両になり、1984年に京王線では全車引退しました。この一族における地方私鉄譲渡は、伊予鉄だけになります。伊予鉄入りに際して台車は京王線とはゲージが異なるため電動車については同時期に引退した井の頭線の先代の1000系(井の頭線の「グリーン車」で形態は2010系とほぼ同一)から発生したものに取り換えられ、付随車については台車はそのまま車輪を伊予鉄の仕様にしました。いわゆる長軸台車という構造です。伊予鉄入線後に冷房化がされました。入線当時はMcTMcの3両固定編成でしたが、輸送需要や運用の面から中間のT車はのちに先頭車化改造がなされました。

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800系のクハは中間車からの改造 854 2008年4月29日 梅津寺で筆者撮影

800系の2両編成の高浜・郡中港方先頭はこのようなスタイルをしています。見た感じ京王5000系にも似たスタイルのなっていますが、裾絞りがない点が相違点になります。

さて、800系に続いて伊予鉄に入線したのが700系です。

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700系 2枚とも2008年4月29日 2008年4月29日 梅津寺で筆者撮影

700系は、京王5000系の譲受車になります。地方私鉄数社に譲渡された5000系、伊予鉄はその最初の事例になります。伊予鉄に700系としてやってきた5000系は初期型の非冷房車が主で、かつ俗に5100系と呼ばれていた釣り掛け駆動車が多数を占めます。伊予鉄譲渡時にMc車はカルダン駆動の台車に履き替えられ、Tc車は台車をそのまま長軸仕様で使っています。また同時に冷房化もされました。

さて、高浜・横河原線はデイタイム時は2両編成になりますが、増結用の車両は古町の車庫のほか、高浜にも留置していました。

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高浜に留置中の800系(上)と700系(下)の増結車 2008年4月29日 筆者撮影

それぞれ1両だけでこのように留置されています。なお連結面側は、ロッカーのような扉で閉め切られています。

さて、高浜線のあとは松山市から郡中線に乗車してみました。

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郡中港に到着した800系 2008年4月29日 筆者撮影

JR予讃線伊予市駅至近の郡中港までを結ぶ郡中線、この路線で運用していた列車はこの日、全列車3両編成で運転していました。この姿を戻る途中で撮影しました。

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3両編成で運転された郡中線の700系 2008年4月29日 余戸で筆者撮影

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同じく3両編成で運転された郡中線の800系 2008年4月29日 余戸で筆者撮影

3両編成で運転していた郡中線、沿線の途中駅前に巨大なショッピングセンターがオープンし、その需要にこたえる形で増結されたようです。

松山市を起点に路線を延ばす伊予鉄道の郊外電車、ここで活躍している元京王の車両について、その活躍を見てきました。これら車両は伊予鉄にやってきて、ほとんどの車両が20年以上が経過し、車令も40年を超えました。しかし、700系・800系とも車内にはLED式の案内装置が設置されたことから、これら車両はまだまだこの地で活躍すると思われます。
伊予の地にやってきた京王2010系と5000系、この地で人々の通勤通学の足として活躍しています。もうこれら車両が京王線で走っていた時代は遠くなりましたが、この地でこれからも活躍していくことでしょう。

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