小樽市総合博物館に行ってきました
さて、函館本線の普通列車で小樽に着きました。小樽は北海道において早くから開けた港町であり、近年ではレトロな街並みや運河地帯を整備して、多くの観光客で賑わう街です。
さて、この小樽には鉄道ファンであれば見逃せない施設があります。それは「小樽市総合博物館」です。ここに行ってきました。
小樽市総合博物館で展示されている北海道で初めて鉄道が開業したときの蒸気機関車の1両「しづか」 2007年8月4日 筆者撮影
小樽市総合博物館は、かつては「小樽交通記念館」という施設で、北海道の大地で活躍していた車両を展示していた施設でしたが、数年前に一時閉鎖されました。その後今年7月になって新たに「小樽市総合博物館」として、一部展示物の見直しが行なわれて再オープンしました。
さて、小樽駅からはバスがあるのですが、時間の都合上タクシーで訪れた小樽市総合博物館、入口を入りますとまずこんな機関車が目の前に展示されていました。
北海道で初めて鉄道が開業したときの蒸気機関車の1両「しづか」
北海道の鉄道では、本州とは異なりアメリカから輸入されてきた蒸気機関車で運行されました。この機関車には「しづか」という愛称が付けられて、北海道開拓の時代に汽笛を鳴らして運転されました。なお、この機関車の同系機としてかつての交通博物館、今年10月にさいたま・大宮にオープンする鉄道博物館に「弁慶」が、そして大阪の交通科学博物館には「義経」が保存展示されています。
「しづか」と同じ時期に使用された客車
「しづか」が展示されている建物には、北海道の鉄道の歴史を展示したコーナーがあります。北海道の鉄道は開拓とともに路線を伸ばしてきましたが、戦後の道路整備などの環境の変化で多くの路線が姿を消していきました。
さて、この建物をでて今度は屋外で展示されている車両を撮影してみました。
屋外で展示されている車両
北海道の特急列車として活躍したキハ82
北の大地を駆け巡った特急型気動車80系キハ82です。ヘッドマークの「北海」は、函館から函館本線山線ルートで札幌を結んだ列車で、この小樽の地に所縁のある列車でした。
80系特急型気動車の食堂車 キシ80 34
このほかにも撮影してきました。
北の大地を駆け巡った蒸気機関車 C55 50
C55に連結されていた客車 スハフ44 1
北海道で活躍した交流電気機関車 ED76 509
ED76の後ろに連結されたスユニ50 501
その後ろはオハ36 126
その後ろはオハフ33
さらにいろいろと撮影しました。
入換用ディーゼル機関車 DD13 611
ローカル線用ディーゼル機関車 DD16 17
さて、この場所で振り返って見ますと、C55に連結された客車の最後尾にはこんな車両が連結されていました。
現金輸送車 マニ30 2012
この車両はマニ30という荷物車ですが、運んだものは現金でした。それゆえ、鉄道雑誌等も掲載を自粛していたほど知る人ぞ知る車両、しかもその姿を目にする機会はまずなかったであろうと思われた幻の車両が、このように展示されていました。
このほかにもまだ展示されていました。
展示されていた車両 先頭は急行型気動車キハ56
急行型グリーン車 キロ26 107
キハユニ25 1
北海道を初めて走った電気機関車 ED75 501
北海道のローカル線で活躍したキハ22 56
蒸気機関車 C12 6
貨物列車牽引のディーゼル機関車DE10
DE10牽引貨物列車の最後尾
救援列車牽引のディーゼル機関車DD51
展示されていた2両の救援車
その後ろは操重車
しんがりに緩急車 ヨ7904
転車台付近に展示された除雪車
この施設には転車台と扇形庫も存在しているのですが、現在補修工事中で扇形庫の一つは見ることができませんでした。
展示されていた除雪車
ロータリー式除雪ディーゼル機関車 DD14 323
ラッセル式除雪ディーゼル機関車 DD15 37
北海道の鉄道なだけに除雪車も多く展示されていました。
さて、小樽市総合博物館のある場所は、旧手宮駅構内にあたります。この場所から札幌方面へ北海道の鉄道は開通しました。それを記念するために、この博物館内にはこんな石碑がありました。
北海道鉄道開通起点の碑
この地から北海道の鉄道が開通したことを表す記念碑になります。かつてはここから南小樽駅まで手宮線が営業しておりましたが、今では廃止となっています。しかし、手宮線の跡も歴史遺産として一部は遊歩道として整備されているほかほとんどそのまま残されています。
こうして、夕方から駆け足で小樽市総合博物館を訪れました。北の大地を駆け巡った車両が多く展示されているのですが、やはり屋外展示なだけに車体が傷んでいるのもあるのが事実です。しかし、扇形庫の補修などが行なわれていますので、徐々にきれいな姿に整備されていくことに期待したいところです。
北海道・小樽を訪れた際は、観光名所とあわせてぜひ訪れてみたいところではないかと思います。
画像はすべて 2007年8月4日 小樽市総合博物館内で筆者撮影
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コメント
ご旅行お疲れ様です。
私も9月にマニ目当てで小樽の博物館に行く予定ですが、Kaz-Tさんのお写真を拝見する限り、展示車両はかなり傷んでいそうですね。
実際、各車両の内部はいかがでしたか?
投稿: TOMO-k | 2007.08.09 00:25
こんばんは。相変わらず「濃い」内容の北海道紀行、楽しみながらみてるトコですw
確か一回閉館したんでしたよね、ここ。再開館したばかりで展示車両も新しい幕開けに相応しいお色直しを期待していたのですが・・・屋内の「しずか」をはじめとした車両はいいとして、屋外はなかなか状態が別れますね。いまの小樽市じゃどうにもできないのでしょうか。
行って見たいですが。
投稿: でんしゃ | 2007.08.09 19:30
コメントありがとうございます。
TOMO-kさん>
復活した小樽市総合博物館ですが、車内については現役当時で残っているものや、一部その車内に様子を人形で再現した車両(緩急車)もありましたが、中には他の目的で使用するために座席がなくなっていたものや、この記事中のキシ80についても、オリジナルではないと思われます。
どうしても屋外展示なため、痛んでいるものも多く見られるのが残念なところです。
でんしゃさん>
北海道旅行記、お楽しみいただいているようで何よりです。
さて小樽市総合博物館ですが、再オープンに際して屋外展示の車両について再整備を行なったかといいますと、こんな状態でした。むしろ転車台付近の扇形庫について補修中(これは100年以上前の立てられた当時のもの)でしたので、これが終われば今後はこれら車両の補修が行なわれるのではと期待しています。すぐにすべてというわけには行かないと思いますが、再オープンさせた小樽市の地道な取り組みに期待といったところではないかと思います。
投稿: Kaz-T | 2007.08.10 06:36
屋外展示の車両は、一部がボランティアの協力により、内部・外部の塗装などの手入れがされましたが、まだまだなのが現状です。多くの車両の塗装は痛んでいて、塗料の破片が周囲に落ちているのが見られます。
小樽総合博物館は第三セクター運営でなく、市の教育・研究施設のため、予算は限られています。(交通記念館は赤字で運営できなくなったのでした。)小学生・中学生は市内在住でなくても無料です。(義務教育対象ですから。)有料の大人の入館者が増えてくれることが必要です。年間パスポートがあるので、リピーター(主に市内在住者が多いです)にはお得です。展示物や歴史など、詳細な事はリファレンスルームの学芸員に質問できます。博物館は基本的に自ら楽しむところです。行けば楽しませてくれるディズニーランドのようなテーマパークとは異質のものですが、楽しむ事を見つける大人も増えてくれれば良いと願っています。(ちなみに私は主に科学ボランティアをしています。)
投稿: ihiroichi | 2007.09.01 22:39
ihiroichiさん、コメントをありがとうございます。
小樽市総合博物館のボランティアをなさっているとのことですが、やはり市の施設なだけに予算が限られるのですね。これだけ多く貴重な車両や資料が展示されているだけに、その維持には大変苦労なさっているものと思われます。
おっしゃるとおりで、これから維持していくには大人の入場者が増えてくれなければいけないのはごもっともであると思います。小樽という観光資源に恵まれた街にある施設なだけに、なんとか観光コースに組み入れて、これからも多くの人が訪れ北海道の鉄道の歴史に触れてくれればと思います。
投稿: Kaz-T | 2007.09.03 00:42