世界初!ハイブリッド気動車 キハE200形デビュー
今日は、中央線を乗り継ぎ小淵沢へ行きました。小淵沢からは、しなの鉄道の小諸を結ぶ小海線が分岐しています。この小海線で先月から、世界初のハイブリッド気動車が運転を始めたということで、その車両を見にまた乗車しに行ってきました。
小海線で運転を開始した世界初のハイブリッド気動車 キハE200形 2007年8月11日 小淵沢で筆者撮影
小海線で営業運転を開始したキハE200形気動車は、世界初のハイブリッド式車両となりました。そのシステムは、起動時は車両に載っているバッテリー電源からモーターを起動させ、加速する際にディーゼルエンジンが動作してこれに直結した発電機を動作させてモーターに電気を供給し同時にバッテリーも充電させます。そして減速・停止する際は回転しているモーターを発電機に変えてバッテリーに充電させます。エンジンとモーターで走行する世界初のシステムで、これにより排気ガスの排出量の削減やエネルギー効率が良くなり、地球環境に優しい車両となりました。
さて、小淵沢に到着しましてからまずは、キハE200形の到着を待ちます。8月いっぱいまでキハE200形の運用は、朝に中込から小諸に向かった後、小淵沢に到着し、その後は夕方まで小渕沢~野辺山を3往復してから中込まで快速で戻るという運用になっています。まずは、野辺山から到着したE200形を撮影してみました。
小淵沢に到着したキハE200形 2枚とも2007年8月11日 筆者撮影
このあと、実際に乗車してみることにしましたが、折り返しの出発まで1時間以上ありましたのでホームに停車中の姿を撮影しました。
2枚とも2007年8月11日 小淵沢で筆者撮影
世界初のハイブリッド車両となったキハE200形には、一般公募により「こうみ」という愛称がつきました。その愛称のヘッドマークが貫通路につけられています。
こうして、出発まで待ちましたが、中央線の列車が到着すると小海線のホームへ乗り換え客が次々にやってきました。この沿線には清里高原などこの時期多くの人が訪れるスポットがありますので、それだけ盛況であったようで、またこの車両が世界初のハイブリッド車両ということもあって、撮影していた人を多く見かけました。こうしている間にドアが開いて乗り込みましたが、あっというまに混雑の車内になりました。そして、12:39に野辺山行きとして出発しました。
ハイブリッド車両ということで、先の到着時の画像を撮影したときもそうだったのですが、起動時はエンジンの唸る音はなく、静かに動き始めました。加速するとエンジンが起動するといった状況ですがこれも通常の気動車とは異なる感じでした。またその走りは気動車とは思えない軽快なもので、この車両はこれまでの気動車の概念を覆す車両であると実感しました。
車窓に広がる高原の風景を堪能している間に、列車は清里を過ぎ、終点の野辺山に到着しました。
野辺山に到着したキハE200形 3枚とも2007年8月11日 筆者撮影
野辺山で撮影しましたが、キハE200形はすぐに小淵沢行きとなって折り返し出発しましたので、出発を見送りました。
さて、このハイブリッド気動車キハE200形が走行する小海線は、八ヶ岳の麓の高原地帯を走るローカル線です。そして、キハE200形が到着し折り返していった野辺山駅は、標高1345.67mに位置するJR線の駅で最高地点にある駅として知られています。この駅のホームには、それを示す標識が立っています。
野辺山駅ホーム上にある「JR線最高地点」の標識 2007年8月11日 筆者撮影
野辺山駅駅舎 2007年8月11日 筆者撮影
野辺山は、キャベツ・白菜など高原野菜の産地として知られ、沿線には畑が広がっています。また酪農も盛んで「野辺山高原牛乳」というブランド名の牛乳を飲んだ記憶のある方もいらっしゃることでしょう。さらに、野辺山は環境が良いことから宇宙電波観測所があり、車窓からその大きなパラボラアンテナも見ることができました。その野辺山駅前の公園には、かつて小海線で活躍した蒸気機関車が展示されていました。
野辺山駅前の公園に保存・展示されていたC56 96 2007年8月11日 筆者撮影
この蒸気機関車は、小海線で「高原のポニー」として親しまれたC56です。廃車後、客車とともに野辺山でSLホテルとして使用されていたそうなのですが、客車が老朽化などで廃業しこの機関車だけが、この地で保存・展示されているとのことです。
かつて、この蒸気機関車がのんびりと走っていた小海線に、世界初のハイブリッド車が走行するようになりました。
さて、今度はキハE200形の走行シーンを撮影してみることにしました。
野辺山駅前の観光案内所で自転車を借りまして、高原の爽快な空気の中をサイクリングすること約15分で、とある踏切がポイントとなります。
小海線の主力車両 キハ110が通過した「第3甲州街道踏切」 2007年8月11日 清里~野辺山で筆者撮影
小海線の主力車両であるキハ110が通過していったこの踏切のあるところは、JR線の最高地点として良く知られ、観光客が訪れます。この踏切の両側にはそれぞれJR線の最高地点を表す標識が立っています。
踏切の両側にそれぞれある「JR線最高地点」を現す標識
この踏切から、再びやってきたキハE200形を撮影しました。
JR線最高地点に差し掛かるキハE200形 野辺山行き 2007年8月11日 清里~野辺山で筆者撮影
折り返して小淵沢行きとなって通過するキハE200形 2007年8月11日 清里~野辺山で筆者撮影
高原を行く世界初のハイブリッド気動車を撮影することができましたので、再び野辺山駅に戻り帰ることにしました。
キハ110系で到着した小淵沢行きは結構な混雑でした。野辺山そして清里と、多くの人が訪れるリゾート地があるだけに多くの利用があるようです。その途中で、キハE200形と行き違いましたので、再度撮影しました。
行き違ったキハE200形 2007年8月11日 甲斐小泉で筆者撮影
こうして、世界初のハイブリッド気動車であるキハE200形に乗車・撮影をしてきました。
世界初となったハイブリッド車両が走る小海線は、JR線の最高地点を通る高原地帯を進む路線です。それだけ高原のさわやかな空気の中を走るのですが、その空気を守るため環境に優しいハイブリッド車が走りはじめました。沿線にリゾート地がありこの時期は多くの人が訪れるため、それだけアピールにもなったかと思います。気動車の概念だけでなくローカル線の風景も一変させるだけのインパクトのあるハイブリッド車両、現在小海線に先行導入ということになっていますが、今後広く普及し、環境に優しい鉄道の一翼を担ってくれることに期待したいと思います。このハイブリッド車両の前途は、希望に満ちた明るい道であることを願わずにはいられません。
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コメント
先日、磐越東線に乗って来ました。
郡山から長い坂を登って阿武隈高原に達し、太平洋沿いのいわき(平)まで下る縦断線形は、小海線によく似ています。
また、阿武隈高原内では細かなアップダウンがあるので、ハイブリッドカーのテストには適地に思えます。
万が一、車両トラブルになっても、郡山工場はすぐそばという立地条件の良さもあります。
しかし、テスト路線が小海線になったのは、知名度やイメージでアピール性が大きかったからでしょうね。
投稿: ふずりな | 2007.08.15 23:55
ふずりなさん、コメントありがとうございます。
世界初のハイブリッド車両は、小海線で運転を始めました。JR東日本に限らず気動車が活躍する路線の大半は山を越える勾配線区になっており、おっしゃるとおり磐越東線でもその効果はありそうですね。
しかし、夏の時期に営業運転を開始すること、また首都圏からの乗客が見込めること(すなわち世間的にアピールすることが可能)などを勘案しますと、この時期多くの人が訪れる小海線が選択されたと思われます。沿線に清里や野辺山といったリゾート地や、JR線の最高地点を通るという点、八ヶ岳の麓の高原を行く路線に「環境に優しい車両を導入しました」というアピールは絶大であるかと思われます。
小海線での先行導入により、今後多くの路線でハイブリッド車両が活躍していくことにぜひ期待したいところです。
投稿: Kaz-T | 2007.08.16 00:45