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2007.03.12

富士の高嶺に雪は降りける 岳南鉄道

今回は、富士付近で東海道線や身延線の113系・123系といった今回のダイヤ改正で引退する旧国鉄型車両を撮影してきましたが、その間で富士駅から東京方へ1駅戻った吉原駅から岳南鉄道という私鉄路線が出ています。この路線にも乗車してきました。

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東海道線吉原駅神戸方にある岳南鉄道線ホーム、8000形が停車中 2007年3月11日 筆者撮影

岳南鉄道は、東海道線の吉原から岳南江尾を結ぶ路線です。富士山が大きくきれいに見える場所を走ります。またこの地域は製紙工場が多く、そのため貨物列車の運行を行っているのも特徴です。

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「がくちゃん かぐや富士」という愛称が付いている8000形 2007年3月11日 吉原で筆者撮影

現在、岳南鉄道で活躍している車両は、京王井の頭線で活躍していた3000系の譲受車になります。地方私鉄数社に譲渡された京王3000系ですが、岳南鉄道にやってきた車両はすべて中間車からの改造になります。なお、入線時期により7000形と8000形に分けられています。

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2007年3月11日 吉原で筆者撮影

まず乗車したのは8000形で、2001年に入線した2両編成の列車です。前面と側面は緑色になり「がくちゃん かぐや富士」と命名されそのヘッドマークも付けられています。この名称の由来は、岳南鉄道沿線に「かぐや姫」伝説が伝わっていることから命名されたとのことです。また運転台はこの時期に廃車になった京王線の6000系から発生したと思われるワンハンドルマスコン仕様になっています。

吉原を出発すると、工場地帯を進みやがてかつての東海道の宿場町であった吉原の市街地を抜けます。その後は、工場の敷地にほど近くなにやら専用線にような風景の中を進み、やがて富士山を望む住宅地を進みますと終点の岳南江尾に着きます。所要約20分の行程です。

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岳南江尾に到着した8000形 2007年3月11日 筆者撮影

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岳南江尾で並ぶ7000形と8000形 2007年3月11日 筆者撮影

岳南江尾駅は無人駅で、島ホームがあり片側には車両が留置されています。上の画像の背景にある高架橋は東海道新幹線で、東京方面から大阪方面に向かう新幹線で新富士駅手前の進行方向左側の車窓からチラッとこのような車両が止まっている光景を目にしたあるかと思いますが、その場所が岳南江尾駅になります。

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2007年3月11日 岳南江尾で筆者撮影

さて、ここまで乗車してきた8000形は岳南江尾で折り返しはせずこのまま留置となりました。折り返しはすでに停車中だった7000形で戻ります。

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乗車した7000形 2007年3月11日 岳南江尾で筆者撮影

7000形は、1997年に導入された車両です。8000形との違いは単行運転の車両であるとともに、前面が岳南カラーともいうべきオレンジ色になっています。元は京王3000系の中間車デハ3100型に運転台を取り付けて誕生した車両で、よくこういう改造を行ったと感じます。7000形はその風貌からこの地で、「新赤がえる」という愛称が付けられました。

さて、岳南鉄道では貨物列車の運転も行っており、機関車も保有しています。これら機関車も撮影しました。

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本線の主力 ED402 2007年3月11日 吉原で筆者撮影

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入れ換え用と使用されているED501 2007年3月11日 比奈で筆者撮影

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赤の外装になったED403 2007年3月11日 岳南富士岡で筆者撮影

機関車などを撮影しながら、車両基地のある岳南富士岡で下車しました。

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2007年3月11日 岳南富士岡で筆者撮影

さて、車両基地のある岳南富士岡には、もう使用されてはいないであろうと思われる車両が留置されていました。

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岳南富士岡で留置されていた車両 2007年3月11日 筆者撮影

これら車両を撮影してみました。

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かつての主力車両 5000形 元・東急先代の5000系の譲受車 2枚とも2007年3月11日 岳南富士岡で筆者撮影

現在では京王井の頭線3000系の譲受車が活躍している岳南鉄道で、かつての主力車両であった5000形が残されていました。元は「青ガエル」というニックネームで親しまれた、東急先代の5000系の譲受車です。この地ではご覧のようにオレンジ色になったことから、「赤ガエル」という愛称で親しまれました。5000形は岳南富士岡に2編成、このほか比奈~岳南富士岡間の貨物ヤードの片隅にも留置されていたのを確認しましたが、この画像のように状態はかなり悪くこのままどうなるのか気になります。

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留置中のED291 2007年3月11日 筆者撮影

この機関車は、岳南鉄道でもっとも古い機関車だそうですが、こちらもご覧のような状況で今後どうなるのか気になります。

これら撮影後、到着した7000形で吉原に戻りました。

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2007年3月11日 吉原で筆者撮影

「赤ガエル」という愛称で親しまれた5000形の後継車として、「新赤がえる」という愛称が付いた7000形です。この日は撮影中は晴天に恵まれその分逆光に悩みましたが、残念ながら富士山は帰るときになってようやくきれいな姿を見せてくれました。晴れていれば沿線各所で雄大な富士山を望むことができます。

井の頭線では丘の上からでしか望めなかった富士山の近くの岳南鉄道にやってきて、もう10年になろうとしています。旅客車5両、機関車3両の小規模で全長14キロの路線ですが、富士山の麓の空気を感じることができます。
これからも、井の頭線からやってきたこれた車両のこの地での活躍と、長きに渡り地域の人々に親しまれることを祈念したいと思います。

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