34年の時を経て 京成特急「開運号」リバイバル運転
今日は、実に34年ぶりのリバイバル運転が行われた京成電鉄の特急「開運号」を撮影してきました。
34年ぶりの復活運転 特急「開運号」 2007年1月28日 京成上野で筆者撮影
京成電鉄は東京・上野から成田を結ぶ大手私鉄で、今では成田に開港した新東京国際空港へのアクセス路線にもなっていますが、もともとは成田山新勝寺へ参拝客を輸送する目的で開業した私鉄です。かつて上野から成田山への参拝客を乗せて走った座席指定制の特急列車として、「開運号」が運転されていました。1952年から運転を始め1973年にのちに「スカイライナー」と名づけられたAE1系デビューまでの間、京成電鉄の看板列車として運転されていた「開運号」が本日に限り運転されました。
今回「開運号」に充当された編成は、かつて開運号として1967年にデビューして今日まで運行してきた3200形3295Fの4連で運転されました。3200形は両開きのドアを初めて採用した通勤型車でしたが、このうち3291~3298号の4連2本は「開運号」用車両として片開きドアで登場し、車内はクロスシートにお手洗いなどがあった特別仕様車でしたが、AE1形就役により一般車に改造されその後更新などが行われ前面のスタイルは若干変わりましたが、その後は寄る年波には勝てず3291~3294の4連は2003年で廃車となり、3295~3298の4連は今日まで普通列車などで活躍してきましたが先日、「開運号」リバイバル運転のためにこの編成は登場時の「赤電」カラーが再現され話題になりました。今日はこの編成に往年の「開運号」当時のヘッドマークなどを再現した臨時列車として運転されました。
さて、この「開運号」の乗車は事前申し込み制でしたので、今回は乗車せず撮影に徹することになりました。
まずは出発駅の上野で「開運号」入線時から撮影してみました。
「開運号」ヘッドマークがつけられた上野方先頭3298 2007年1月28日 京成上野で筆者撮影
「開運号」ヘッドマーク(成田行きの3298につけられたヘッドマーク)
こちらは電照式の「開運号」ヘッドマークが再現された成田方先頭3295 2007年1月28日 京成上野で筆者撮影
3200形で運転されていた「開運号」のヘッドマークは電照式でした。今回の運転ではまず成田方先頭の3295に当時と同じ電照式が、上野方先頭3298は普通のヘッドマークがつけられました。また側面を見てみますと各車両中央ドア上部にこんなステッカーが貼られていました。
各車両中央ドア上部に貼られた「指定特急」表示
当時の「開運号」は見た目では通常の電車とはあまり違わない部分があったことから、このような表示を掲出していたそうです。「指定特急」とはいえ、今の車内はロングシートになっているのはやむをえないでしょう。
撮影していた京成上野には大勢の人が「開運号」を撮影しようと訪れていました。前面のスタイルは更新が行われ変わってしまいましたが、オリジナルの「赤電」塗装と「開運号」のヘッドマークは、かつての看板列車のスタイルを彷彿とさせます。こうして10:19に「開運号」は上野を出発しました。
さて、本日に限り復活した「開運号」はダイヤ上団体専用の臨時列車として運転されました。かつての開運号は上野~成田ノンストップで約60分で結んでいたそうですが、今日のダイヤでは定期列車に「開運号」のスジを引いたことから、下り列車では成田までの所要は78分で、この間で定期の特急列車に追い抜かれるというダイヤになっていました。
そこで、上野で「開運号」出発を見届けてから、その直後に発車する特急に乗車しましたところ、早速千住大橋で追い抜いてしまいました。沿線にはこの日に限り復活した「開運号」を撮影しようと大勢の人が詰め掛けていました。その走行シーンを撮影しようとまず八幡で下車して狭いホーム先端ですでに何名か待っている人がいましたので、その中に入って撮影しました。
2007年1月28日 京成八幡で筆者撮影(下り成田行き)
京成八幡では普通列車の続行という状況でしたので、非常にゆっくりとした速度で通過していきました。
このあとは八幡から快速に乗車して船橋で下車して、後続のスカイライナーに乗車しますと成田に先着して到着する「開運号」が撮影できるのですが、大勢の人が訪れた今日の京成電鉄、同じことを考えていた方が多くいらしたようで満席でしたので成田先着は断念して、そのあとの特急に乗車したのですが日曜日昼間の京成特急とは思えない混雑で、見るからに「開運号」を撮影しようと訪れた人で混雑していました。この特急で、成田から折り返し帰りまでの間に入庫となる宗吾参道で撮影するために下車しましたが、ここでは乗車してきた特急が出発した直後に回送で「開運号」編成が到着しました。
成田到着後回送でやってきた「開運号」編成 2007年1月28日 宗吾参道で筆者撮影
乗車していた方は同じ考えの方が多かったようで、普段はのどかな宗吾参道は時ならぬ賑わいになりました。ここで「開運号」を撮影しようと訪れていた栃木路快速さんと出会い、その後行動をほぼ共にすることになりました。
さて、宗吾参道で京成電鉄の運転関係の方に大勢の人が群がり運行ダイヤなどについて質問をしている状況でした。その中に入って帰りの上野行きのダイヤについての情報を得ることができましたので、一旦成田に向かいました。
成田では本日運転された「開運号」にちなんで成田山新勝寺へお参りに行ったあと、帰りの上野行き「開運号」を撮影しました。
上野行きでは最後尾になる3295 2007年1月28日 京成成田で筆者撮影
電照式ヘッドマークをつけた上野方先頭3298 2007年1月28日 京成成田で筆者撮影
宗吾車両基地での折り返し時に付け替えが行われたのでしょうか?帰りの上野行きでは先頭になる3298に電照式ヘッドマークがつけられ3295には通常のヘッドマークが付けられました。そして、13:23に「開運号」上野行きは出発していきました。
さて、帰りの「開運号」は上野まで所要119分と、早朝時間帯に走る待避無しの普通列車よりもさらに時間がかかっています。この間で特急3本・スカイライナー2本を少なくとも待避するというダイヤになっていましたので、帰りも後続の特急で「開運号」を追いかけました。その特急はユーカリが丘で「開運号」を追い抜きましたので、まずは八千代台で撮影してみました。
2007年1月28日 八千代台で筆者撮影(上り上野行き)
八千代台で撮影後は後続の快速に乗車しましたが、船橋競馬場で待避していましたのでここで下車して撮影しました。
2007年1月28日 船橋競馬場で筆者撮影(上り上野行き)
最新型車3000形と並ぶ 2007年1月28日 船橋競馬場で筆者撮影
内側が待避線になっていた船橋競馬場駅。この車両が「開運号」として運転されていた当時は、「センター競馬場前」と称していたかと思います。最新型車3000形と並ぶ3298を先頭にしたリバイバル「開運号」、34年の年月を感じさせます。
また、帰りの「開運号」は約2時間にも及ぶ長時間となることから、船橋競馬場では待避の間ドアを開けてトイレ休憩が行われていました。
船橋競馬場からは普通列車に乗車して、小岩でやはりトイレ休憩もかねた待避停車中の「開運号」を撮影しました。
2007年1月28日 京成小岩で筆者撮影(上り上野行き)
小岩からは先に出発した快速に乗車して、青砥で普通に乗り換えました。この普通列車は船橋競馬場から小岩まで乗車してきた列車です。そして千住大橋で下車。ここでmelonpanさんとも合流して、ここでも特急待避のため運転停車した「開運号」を撮影しました。
2007年1月28日 千住大橋で筆者撮影(上り上野行き)
上野に向けて出発 2007年1月28日 千住大橋で筆者撮影(上り上野行きを後追いで撮影)
千住大橋から先は上野には行かず、戻りの回送を撮影しようと新三河島で下車しました。ここにも狭いホームに大勢の人が集まっていましたので、撮影はうまくはできませんでした。
こうして、34年ぶりのリバイバル運転となった「開運号」の運転は終了しました。
京成電鉄の歴史に残るかつての看板列車、成田山へお参りに行かれる人とご利益を乗せて走っていた「開運号」の栄光の姿を多くの人が堪能しました。
今回「開運号」として使用した3295Fも、いよいよ引退のときが近づいているようです。その前の晴れの姿となりました。この編成は、明日以降も3月末までの予定でこのままの「赤電」塗装で運転されます。「開運号」の運転は終わりましたが、かつての京成電車の姿を堪能することはまだ可能です。
3295Fが「開運号」として運転されていた当時は、生まれて間もないころになります。おそらく沿線で撮影されていた方も、リアルの「開運号」を見たことがある人は少なかったのではないかと思います。京成電鉄のその昔の看板列車の姿を再現して運転された「開運号」、きっと多くの人の記憶に残ったのではないかと思います。
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コメント
撮影お疲れ様です。
多くのブログで取り上げられているこの話題、結局僕は見に行けずじまいに終わりました。京成がリバイバルとはなかなか珍しいと思ってはいたのですが・・・。その内通常運用に入っている同車でも撮影に行こうかと思っていますが、いつになるかはわかりません(汗
ところで、HMは電照式の方は会社側で保管していたものを装着したそうです。気合入ってますね~!
投稿: でんしゃ | 2007.01.30 19:57
でんしゃさん、コメントありがとうございます。
実に34年ぶりの復活運転となった京成特急「開運号」。この列車で活躍していた車両が、まだ残っていたことから実施できた企画であると思います。残念ながら「開運号」が運行されていた当時は、まだ私は生まれてまもない頃で、この車両に施された「赤電」カラーも見た記憶があまりありません。「開運号」ヘッドマークが会社で保管してあったものとなれば、よくぞ残っていたと思います。
この編成は、3月末日までの予定で「赤電塗装」で運転されます。見ることは難しく、それこそ金町線に入っていればもう撮り放題となりますが、本線普通で運転されていれば、見ることは難しくなります。ぜひ一度、かつての京成電車の姿をご覧になられてはと思います。
投稿: Kaz-T | 2007.01.30 22:41
はじめまして、みゃあみゃあといいます。
私も京成上野で、出発の瞬間を見届けました。電照式ヘッドマークを付けた3295号車は「一世一代の晴れ舞台」のように見えました。
中央ドアにあった「座席特急」の張り紙は、その昔、この電車が通勤車兼用だった頃の名残です。朝夕のラッシュ時には一般車として使い、ラッシュが終わると高砂に入庫して車内を整備し、「開運」号に使ったのです。中間車の3296号車には、トイレと車内販売準備室としての物置がありました。
私のブログでも、近日中に特集予定です。
またバックナンバーで簡単ではございますが、「開運」号の歴史をまとめてありますので、良かったらご覧下さい。
投稿: みゃあみゃあ | 2007.01.31 10:49
みゃあみゃあさん、弊ブログにようこそお越しくださいました。コメントとトラックバックをいただきまして、ありがとうございます。
34年ぶりの運転となった「開運号」に使用された3295F、もうこの編成も引退を言われていますので、おそらくは最後の晴れの姿になったのではないかと思います。
自分も含めまして、沿線で撮影していた人の多くはこの編成リアルの「開運号」を見たことがある人は少ないと思われますので、更新により前面のスタイルが変わってしまっても、かつての栄光の姿を堪能できたのではないかと思います。
これからもご来場をお待ちいたしております。
投稿: Kaz-T | 2007.02.01 00:10
こんばんは、みゃあみゃあです。コメントありがとうございます。
3295編成、ヘッドライトの増設でフロントマスクは変わってしまいましたが、引退前の「晴れ舞台」でしたでしょうね。私もリアルで「開運」号を見た事がない世代でしたが、あの様な電車が走っていた事は京成電鉄にとって、大きな歴史だったでしょう。
私のブログでも出発風景の写真をアップしました。
またブックマークに、このブログへのリンクを張らさせていただきました。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
投稿: みゃあみゃあ | 2007.02.02 20:14
みゃあみゃあさん、重ねましてのコメントありがとうございます。
「開運号」最盛期はもちろん1600形の時代であったかと思いますが、3295の編成は、そのあとを受けて「開運号」で活躍していた車両でした。一時代を飾った列車であったことは間違いないでしょう。
ブックマークの登録ありがとうございました。これからもご来場をお待ちいたしております。
投稿: Kaz-T | 2007.02.03 21:03