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2006.09.19

JR五能線の旅「リゾートしらかみ」号に乗ってきた

この前の3連休とその翌日はお休みを頂きまして、旅をしてきました。実際は土曜日の夕方に出発して、今回は東北・青森へ向かい、秋田と青森の両県にまたがり日本海沿岸を進むJR五能線に乗車してきました。

世界遺産に登録された白神山地と風光明媚な海岸沿いを進む五能線を走行する「クルージングトレイン」、「リゾートしらかみ」号に乗車してきました。

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青森に停車中の「リゾートしらかみ・青池編成」 この列車から五能線の旅が始まる。2006年9月17日 筆者撮影

「リゾートしらかみ」号編成は、何年か前に品川で展示されたのを見に行って、今年も同じく展示された編成を見に行って「いつか五能線に行ってみよう」と思っていました。今回、ようやく五能線を訪れ「リゾートしらかみ」に乗車することができました。

「リゾートしらかみ」号は秋田から五能線経由弘前・青森を結ぶ全席指定の快速列車です。この連休中に乗車するため1ヶ月前に「えきねっと」で予約しましたが、当初の行程どおりの列車を予約することができず行程を見直して、行程が成立する予約ができました。その行程は1日目9月17日の日曜日に青森から「リゾートしらかみ2号」に乗車し、ウェスパ椿山で下車、ここで弘前行きの「リゾートしらかみ3号」で弘前に戻り、翌日の午後に五所川原から秋田行きの「リゾートしらかみ4号」に乗車するという行程です。「リゾートしらかみ」は3編成存在しいずれも外装などが異なっていることから、全編成に乗車するということで行程を組み立てました。

こうして、組み立てた行程の1日目は青森から「リゾートしらかみ2号」に乗車しました。車両は世界遺産に登録された白神山地のブナの林の中にひっそりとたたずむ神秘の湖、青池から名づけられた「青池」編成です。

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車体側面に貼られた「青池編成」ロゴマーク

さて、この列車の2号車の座席が指定されていました。「リゾートしらかみ号」の2号車はボックス席になっています。

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リゾートしらかみ号のボックス席

この座席はグループ向けの座席ですが、3人以下で利用は相席となります。青森発車時は自分1人だけでしたが次の弘前から乗車してきた方がきましたので、相席となりました。

「リゾートしらかみ号」は青森を出発すると弘前まで走り、ここで一旦戻って川部から五能線に入ります。五能線に入ると、沿線両側に広がった収穫を迎えたりんご畑の中を、刈入れ間近になった水田地帯を、津軽富士といわれる岩木山を眺めながら走行します。そして、途中停車駅の五所川原から鯵ヶ沢の間で津軽三味線の生演奏が先頭車の展望ラウンジで開催され、車窓を眺めながらこの地方の文化に触れることができます。津軽三味線の生演奏が終了した鯵ヶ沢で停車時間がありましたので、ここで撮影してみました。

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2枚とも2006年9月17日 鯵ヶ沢で筆者撮影

鯵ヶ沢を過ぎると、五能線のハイライトといえる海岸沿いを走ります。海岸沿いの景勝地では列車は速度を落として運転され、その景色を堪能することができました。こうしている間に「リゾートしらかみ2号」の下車駅となったウェスパ椿山に到着しました。

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2006年9月17日 ウェスパ椿山で筆者撮影

下車したウェスパ椿山はヨーロッパ風のコテージやガラス工房、展望台と海を望む開閉式の展望風呂のある温泉があります。ここで、次に乗車する「リゾートしらかみ3号」までの時間で温泉に入りくつろいできました。

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「ウェスパ椿山」物産館

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物産館から展望台を結ぶスロープカー「しらかみ号」

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ウェスパ椿山で保存・展示されている蒸気機関車8620形 78653

この蒸気機関車は茨城県日立市で保存されていたものを引き取り、ここで展示されたもので今後は動かせるように整備して五能線で運行したいとのことです。「SLしらかみ」号が実現するのでしょうか?ぜひ実現してほしいと感じました。

さて、こうしている間に弘前行きの「リゾートしらかみ3号」が到着する時刻となりました。

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到着した「リゾートしらかみ3号」は「リゾートしらかみ・くまげら」編成 2006年9月17日 ウェスパ椿山で筆者撮影

「リゾートしらかみ3号」は、今年デビューした日本海に沈む夕日と白神山地のブナの森に生息するキツツキの仲間「くまげら」をイメージした「くまげら」編成です。

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車体側面に貼られた「くまげら」編成ロゴマーク

この列車で弘前へ戻りますが、今回の座席は最後尾の一番後ろの座席でした。「リゾートしらかみ」号各編成の前後は展望ラウンジとして、フリースペースになっています。

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リゾートしらかみ号の展望ラウンジ 画像は「くまげら」編成のもの

途中の駅で停車時間がありましたので、撮影してみました。

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2006年9月17日 深浦で筆者撮影

この後、沿線の風光明媚な風景を撮影してみました。

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弘前行きで深浦出発後に広がる行合崎海岸

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景勝地 千畳敷海岸

千畳敷では「リゾートしらかみ3号」に限り10分停車し、駅から停車時間中に海岸をミニ散策できるようになっています。なお、出発時刻3分前に汽笛を鳴らして列車に戻るように案内があります。

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千畳敷に停車中の「リゾートしらかみ くまげら編成」 2006年9月17日 筆者撮影

再び「リゾートしらかみ3号」に乗車して弘前に戻ります。その道中の鯵ヶ沢から五所川原の間で先頭車の展望ラウンジで津軽三味線の生演奏が、そして陸奥鶴田から川部の間で同じく先頭車の展望ラウンジで津軽弁の「語りべ」体験が行なわれ、秋田からでは長時間乗車になるリゾートしらかみ号で、車内における観光気分を盛り上げる演出がなされるのも、この列車の大きな特徴です。こうして、終点の弘前に着きました。

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弘前に到着した「リゾートしらかみ3号」 2006年9月17日 筆者撮影

さて、翌日の18日にも五所川原から「リゾートしらかみ4号」に乗車しました。前日は弘前に宿泊し、五所川原からリゾートしらかみ乗車前に回ってきたところがあったのですが(この件は後日記事とする予定です)、それでもまだ出発時間まで時間があったことから、五所川原の今や全国的に有名になったお祭り「立佞武多」を展示している「立佞武多の館」に行ってみました。

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「立佞武多の館」で展示されている「立佞武多」

五所川原で毎年8月に開催される立佞武多は、青森市のねぷたと異なり高さ22mもある雄大なもので、この館では実際に使用されたものが展示されているのですが、真下からでは見上げるように見え、その後エレベーターで4階まで上がってねぷたの顔の部分になるという、このことからもこのねぷたがいかに大きなものであることが分かるのではないかと思います。

立佞武多の大きさに感動してから五所川原15:12発の「リゾートしらかみ4号」に乗車しますが、ここでアクシデントが発生しました。この日は台風13号が接近という事態でその影響で強風が吹き、海沿いを走る五能線においてはその風による速度規制が行なわれてしまいまして、乗車する「リゾートしらかみ4号」は五所川原には定刻で到着してもここで行き違う「リゾートしらかみ3号」が強風の影響で約25分の遅れで運転され必然的に、「リゾートしらかみ4号」も遅れることとなってしまいました。

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五所川原に到着した「リゾートしらかみ4号」は「リゾートしらかみ ブナ編成」 2006年9月18日 筆者撮影

「リゾートしらかみ4号」には、白神山地の森に生い茂る「ブナ」の木をイメージした「ブナ編成」です。(おことわり:ブナは「木へんに無」という漢字ですが、この漢字は常用漢字に含まれていないためカタカナで表記しています)

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車体側面に貼られた「ブナ」編成ロゴマーク

五所川原を25分遅れて出発した「リゾートしらかみ4号」でしたが、その後は風規制が治まったことや、もともと「リゾートしらかみ」号は観光列車あることから、風光明媚な箇所においての徐行や途中停車駅での停車時間に余裕があるのでそれらを削って、徐々に遅れは回復していきました。

さて、この日は天気予報では「雨」とされ、台風などの影響で見ることはできないであろうと思われた風景がありました。それは、「リゾートしらかみ」4号・6号で見ることができる日本海に沈む夕陽です。この日は午前中こそ雨がぱらつく天気でしたが、午後になると晴れ間が見えてきました。そして、感動的なシーンに出会うことができました。

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「リゾートしらかみ4号」から眺めることができた日本海に沈む夕陽

定刻で運転されていれば日没時に徐行があるのですが、遅れ回復のためそれはありませんでした。しかし、前日の天気予報であきらめていた日本海に沈む夕陽を眺めることができました。

さて、その後列車は遅れを回復して、奥羽本線に入る東能代到着時点で定刻にまで回復しました。

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2006年9月18日 東能代で筆者撮影

東能代からは奥羽本線に入り、日が暮れた中を走り抜け、定刻時刻に終着である秋田に到着しました。

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秋田に到着した「リゾートしらかみ4号」 2006年9月18日 筆者撮影

こうして、数年来の念願であったJR五能線「リゾートしらかみ号」の乗車体験は終わりました。


秋田県の東能代から日本海沿岸を通り青森県の川部を結ぶ全長147.2kmの五能線、沿線は過疎化が進みこのままではジリ貧になっていたであろう長大ローカル線は、世界遺産に登録された白神山地と夕陽が沈む日本海、さらに風光明媚な海岸線といった宝がありました。これら宝を活かし沿線の風土や文化を紹介しながら走る「リゾートしらかみ号」は、ゆったり流れる時間とすばらしい風景から得られる感動を乗車した人にもたらします。
今となっては、人気の列車になった「リゾートしらかみ号」のこれからの活躍とともに、この記事をご覧になりました皆様もぜひ乗車して、五能線とこの列車の魅力を味わってみることをお勧めいたします。


感動をありがとう、いい旅の思い出になりました。

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コメント

★ 2年前に家族で東北旅行をしましたが、
  この「リゾートしらかみ」には乗車しません
  でした。その時は、八甲田~十和田湖~
  白神山地~丸山遺跡と車で回るコースを
  辿ったからです。次回を狙おうと思ったら
  当時からあった優待パスがこの9月末で
  なくなるので、残念です。割高な優待パス
  の設定がされてしまうのは、JR東日本の
  戦略なのですが、儲かりそうだと値上げする
  露骨な動きには…です。

投稿: SDTM | 2006.09.20 06:20

SDTMさん、コメントありがとうございます。

そのルートでしたらクルマあるいは駅レンタカー利用が便利ではあるかと思いますが、列車で旅をしますとまた格別な感じになります。
リゾートしらかみ号が走る五能線は、風光明媚な沿線をそして人情味あふれる演出で、非常に印象深い列車です。お得なきっぷがなくなってしまうのは不便ではあるかと思いますが、調べてみますと便利なきっぷはありますし、JR東日本のびゅうの商品で「リゾートしらかみ号」に乗車するパック商品もありますので、機会がありましたときはのぞいて見るのも良いかと思います。そして、ぜひリゾートしらかみ号に乗車して、五能線の風景を堪能してみることをお勧めいまします。

投稿: Kaz-T | 2006.09.21 00:19

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