よみがえった地域の鉄道 沿線住民のサポートとともに えちぜん鉄道
5月5日は福井付近を周遊してみました。まず、福井からはえちぜん鉄道に乗車してみました。
高架になったJR福井駅東口にあるえちぜん鉄道福井駅 2006年5月5日 筆者撮影
出発を待つ えちぜん鉄道勝山永平寺線勝山行き6000形 2006年5月5日 福井で筆者撮影
えちぜん鉄道は、JR福井駅前にある福井駅から松岡・永平寺口を経由して勝山へ向かう勝山永平寺線と、途中の福井口で分岐してあわら湯のまちを通って三国港へ向かう三国芦原線の2路線で、全列車福井駅から発着し両線とも30分間隔で運転されています。
元は京福電鉄で運行されていたこの両線でしたが、すでに利用客減による経営不振により廃線が打ち出されていた矢先、相次いで衝突事故が発生し当時の運輸省から運行停止命令が出され、復旧費用や安全面での投資費用などの点から運行停止のまま撤退ということになってしまい、命運は尽きてしまったと誰もが思っていました。
しかし、運行停止後やはり鉄道は必要という沿線地域の気運が高まり、新たに第3セクター会社として「えちぜん鉄道」が設立され、福井県や自治体からの援助の元必要な投資を行なって「えちぜん鉄道」として再び運行が再開されました。
福井に到着した快速列車 車両は京福から引き継がれた元阪神車 2006年5月5日 筆者撮影
では、まず勝山永平寺線勝山行きの列車に乗車します。車両は最近愛知環状鉄道から譲受した6000形の単行ワンマン運転の列車になります。えちぜん鉄道では車両の取替えも進めていて、今では愛知環状鉄道からやってきた6000形が主力になっています。
福井を出発し、しばらくは一部単線を交えた複線区間を行きますが、その後単線になり山間部に分け入るような感じで進みます。そして、福井から約1時間で終点の勝山に着きます。
勝山駅 駅舎 2006年5月5日 筆者撮影
勝山は恐竜の化石が発掘されたそうで、駅前にも恐竜の大きな像があります。
勝山からは1本送って折り返しの福井行きに乗車します。
さて、えちぜん鉄道では、地域密着とこれからの利用促進のためサポーター制度が存在しています。これは年会費を納めますと、えちぜん鉄道の運賃が割引となるほか、土・休日に発売される1日フリーきっぷを購入した回数により記念品がもらええるなどの特典があります。地域ぐるみでえちぜん鉄道をサポートしようという試みです。実際みてみますと、サポーター証を提示してきっぷを購入している人を多く見かけましたので、地域に十分浸透しているようです。
勝山で折り返して出発を待つ福井行き6000形 2006年5月5日 筆者撮影
さて、勝山から福井方面へ戻る際に乗車した列車には、えちぜん鉄道の特色にもなっているアテンダントさんが乗車していました。デイタイム時間帯は地域のお年寄りの利用が多いことから行なわれている試みで、車内で乗車券の販売や案内などをてきぱきとこなす乗務員さんです。
福井方面へ戻る際にこんな車両にすれ違いました。
京福電鉄から引き継がれた5000形 2006年5月5日 越前竹原で乗車中の福井行き列車から筆者撮影
この車両は5000形という車両で、京福時代に近代化のために2両導入されました。京福福井線の再興を目指して導入されましたが、1両は衝突事故で廃車となってしまいこの1両がえちぜん鉄道に引き継がれました。
勝山からの福井行き列車は駅に到着ごとに乗客が増えていき盛況でした。地域の足として十分に復活したと感じました。この列車で福井口で下車して、今度は三国芦原線に乗車します。福井口では7分の接続でやってきた6000形に乗車して、三国港まで乗車しました。
三国芦原線は福井口から先はしばらく住宅地を走りますがやがて九頭竜川の鉄橋を過ぎますと、長閑な田園風景を走ります。そして、賑やかな町が見えてきたところがあわら湯のまちで、芦原温泉最寄駅になります。その後は再び田園風景を走りますが、やがて丘を越えると三国駅があり、そのまま走って終点の三国港になります。
三国芦原線の終点 三国港駅 2006年5月5日 筆者撮影
三国港は、漁港があるところでもあり、日本海を望む海岸もあるところです。なお三国港駅は無人駅です。
三国港からは一旦戻ります。その車内で、この列車にも乗車していたアテンダントさんから、こんなグッズを購入しました。
えちぜん鉄道グッズ 電車型目覚まし時計 筆者所蔵
えちぜん鉄道ではこのようなオリジナルグッズも販売しており、有人駅とともに車内のアテンダントさんからも購入することができます。時刻になるとアラームの他窓が光るという仕掛けがあります。
三国港からの福井行きに乗って田原町で下車しました。この駅ですぐやってきた三国港行きを撮影してみました。
三国港行きの京福電鉄から引き継がれた元阪神車 2006年5月5日 田原町で筆者撮影
えちぜん鉄道では現在、元愛知環状鉄道からの車両の導入により、旧京福の元阪神車は徐々に姿を消していく運命にあるようです。この画像の車両もいずれは姿を消してしまうのでしょうか?
このあと、福井周辺を周遊後夕方、三国港にある海岸沿いにある三国温泉「ゆあぽーと」に行く為再び乗車して三国港駅で撮影してみました。
2006年5月5日 三国港で筆者撮影
こうして、えちぜん鉄道に乗車しました。1度は命運が尽きてしまった路線は、沿線地域のサポートのもと、よみがえりました。もしあの時、このまま廃線になってしまっていたら、今回の旅行で勝山も三国温泉の海岸にも訪れることは無かったと思います。サポーター制度とアテンダント乗務の試みは、経営不振にあえぐ地方路線において存続への手がかりとなりえるかと感じます。これからも地域の人々のサポートを受け、えちぜん鉄道が大きく育ち発展することにぜひ期待したいと思います。
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