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2005.07.16

「碓氷峠鉄道文化むら」に行ってきました

今回、SL列車に乗って横川を訪れました。横川はかつて首都圏と長野・日本海沿岸を結ぶ信越本線の駅でした。ここから次の軽井沢まで、碓氷峠と呼ばれたこの区間は当時国鉄・JRの最急勾配66.7‰が存在し、特急列車であってもこの横川に停車して峠を越す為の機関車を連結していました。
難所であったこの碓氷峠区間も1997年の長野新幹線開業により廃線となり、横川は終着駅となりました。

かつての碓氷峠区間の歴史を伝えるとともに、その昔全国各地で活躍した機関車や客車などを一同に展示し、「お子様から鉄道ファンまでだれもが楽しめる」テーマパークとして開設されたのが「碓氷峠鉄道文化むら」です。

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かつて、碓氷峠を越えた特急型電車と、廃線時まで使われていた検修庫を公開した「鉄道展示館」
2005年7月16日 筆者撮影

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屋外展示館に展示されている車両群 2005年7月16日 筆者撮影

さて、入り口を入って目の前にあるのが「鉄道展示館」です。

この施設は、廃線時まで、碓氷峠を超える為の機関車の検修庫をそのまま公開しています。中に碓氷峠で活躍した機関車や、かつての碓氷峠区間を体験できる運転シュミレーターがあります。

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鉄道展示館内の「碓氷峠のシェルパ」EF63 10 かつての碓氷峠区間はたとえ特急列車であっても、このEF63型電気機関車2台の力を借りなければ越えることができませんでした。
2005年7月16日 筆者撮影

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EF62 54 碓氷峠区間でEF63の力を借りて越えることができた機関車はこのEF62だけでした。
2005年7月16日 筆者撮影

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EF63が導入される前、アプト式であった時代の碓氷峠のシェルパ ED42 1 2005年7月16日 筆者撮影


鉄道展示館を出まして先へ進みますと「屋外展示館」になります。
ここには、かつて全国各地で活躍した機関車や客車などが総勢25両展示されており、一部車両は車内に入ることもできます。
ここで、その一部を撮影してきました。

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D51 96 おなじみデゴイチですがこの車両は初期タイプです。どこが異なるか、先ほどのSL碓氷号を牽引してきたD51 498と見比べてみましょう。

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DD51 1 各地で活躍したDD51型ディーゼル機関車のトップナンバー機です。

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EF53 2(左)と「碓氷峠のシェルパ」EF63 1(右)

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関門トンネル区間で活躍したEF30 20(左)とかつての花形特急機関車EF58 172(右)

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ブルートレインを牽引したEF60 501

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常磐線で活躍したEF80 63

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山陽本線の急勾配区間・通称「セノハチ」のシェルパだったEF59 1

この屋外展示館にはこのほかにも貴重な車両が展示されています。

さて、この「碓氷峠鉄道文化むら」の最大の特色として、かつて碓氷峠区間で活躍した「EF63型機関車」運転体験コースの存在があります。このコースは、有料で要予約なのですが、かつて碓氷峠で活躍した本物のEF63を実際に走行していた線路で運転することができるというものです。運転前にまず学科講習を行なってから改めて運転体験ができるというもので、気軽にできるというものではありませんが、本物を運転できるということで人気になっています。

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体験運転用のEF63 24 運転中の姿

残念ながら、このコースを申し込むほど時間がなかったもので、体験はできなかったのですが、いつの日か機会がありましたときはぜひ、体験してみたいと思いました。

さて、開設からすでに数年が経過した「碓氷峠鉄道文化むら」ですが、今年3月から新しいアトラクションが登場しました。「碓氷峠のトロッコ列車 シェルパくん」です。

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碓氷峠のトロッコ列車 シェルパくん

このトロッコ列車は「文化むら」から途中丸山に停車してから、日帰り入浴施設「峠の湯」までの区間を、かつての碓氷峠区間を走行します。丸山には現在では文化財にも指定されている旧丸山変電所の前に駅が設けられ、建物の外側ですが、見ることができます。

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修復された旧丸山変電所

なお、かつての碓氷峠区間の線路のうち旧上り線は「アプトの道」として、「めがね橋」まで整備されています。
このトロッコ列車は峠の湯までですが、線路は軽井沢まで残っていて、案内ガイドさんの解説で「いつの日かこのトロッコで軽井沢まで運行したい」とのことで、これはぜひ実現してほしいと思いました。

と、いうことで実際には駆け足で「碓氷峠鉄道文化むら」を堪能してきました。かつて多くの人が思いをもって行き交った、峠の道の歴史を今に伝える施設として、大変有意義なものになっています。

この記事を見て、興味をもたれた方はぜひ一度、横川を訪れてみることをお勧めします。首都圏からでは遠路になりますが、やはりかつてのツワモノどもの後をたどることのできる唯一の施設であると思います。
この施設が、今後一層充実し多くの人に親しまれることを期待してやみません。


参考 碓氷峠鉄道文化むら 公式ホームページ

この記事の画像はすべて2005年7月16日に筆者が撮影しました。

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コメント

写真ありがとうございます。僕もこの夏休み、行ってきたいと思います。屋外展示だと、塗装の痛みとかがこれから気になりますね。

Primera

投稿: Primera | 2005.07.17 01:08

 おはようございます。

 実は私も先月、「関東の駅百選」のスタンプを押しに横川へ行ってきました。この時は仕事を休んで出かけたのですが、平日の火曜日ということで休館日に当ってしまい見学することは出来ませんでした。もっとも文化むら自体は何度か訪れていますけどね。

 ここの魅力はなんと行っても国鉄時代の車両でしょうね。機関車もそうですが、旧型の客車を見ることが出来るのはうれしいものです。

投稿: mattoh | 2005.07.17 10:53

こんばんは、こちらでは、はじめまして・・・
自称Mr.中央線のエロオヤジこと、とも氏の紹介で来ました痛勤形酷電と申します。
鉄道文化村いいですねえ。私も数年前、模型業界で仕事をしていた頃、銀座天賞堂50周年記念号に乗車し訪れました。
当時確か「あさま」色だった189系の先頭車が特急シンボルマークも凛々しく、国鉄色になっていますね(^^;やはりこの色に勝つカラーというのは無いのでしょうか・・・美しいですね。ちなみに、何を隠そうEF63は一番好きな機関車でして、天賞堂の1号機と1次形(両方茶)各1両とTOMIXの2両セットはかなり買い込み、よく見ると実車より多い・・・+_+;おまけに電車で好きな形式の183系の兄弟車189系(これも模型は数え切れない位・・・)の本領発揮の場でもありましたから、思い入れは人一倍・・・
SLファンがDD51を嫌ったように、未だにE2系が大嫌いな人だったりします。
まあ、自己紹介はこのへんで・・・なかなか興味深いサイトですのでこれからもちょくちょく来させてもらいます。よろしければ相互リンクもして頂ければ嬉しいです。是非ご検討お願い致します。では失礼致します。

投稿: 痛勤形酷電 | 2005.07.17 23:31

コメントいただきまして、ありがとうございます。

Primeraさん>
我が国の鉄道博物館の類で、これほどまで多くの車両を屋外で展示している施設は、ここを置いて他にはないと思います。
屋外展示の為、車体の傷みが今後発生することが予想される他、破損や盗難などの心配もあります。
しかし、これだけ充実した鉄道展示博物館は現在では他にないことから、ぜひ訪れることをお勧めします。

mattohさん>
訪れたのが休館日の火曜日とは残念でしたね。
おっしゃるとおり、この施設の見所は展示されている車両に他なりません。機関車に注目してしまいますが、客車や気動車など今では貴重になった車両も展示されていますので、これら車両が末長く守られることを期待したいと思います。

痛勤形酷電さん>
こちらこそ初めまして、弊ブログにようこそお越しくださいました。
自分はこの文化むらは2度目ですが、おっしゃるっとおりその当時、車両展示館脇の189系は「あさま」カラーでした。その後、展示物の見直しや充実が行なわれているようで、この189系も往年の国鉄特急色になっていました。
碓氷峠はそれだけ多くの人々の記憶に残り、思いも多いことでしょう。EF63型電気機関車2両を連結し、峠を越えていった189系特急あさまの姿が今でも思い浮かべます。

さて、弊ブログはタイトルのとおり、鉄道マニアを自負する私Kaz-Tが、鉄道の話題を書き綴るブログになっています。何かしら話題がありそうなところへは出向き、記事にしてしまうミーハーなブログでもあります。
リンクの件ですが、弊ブログは「鉄道趣味ブログのポータル」と呼ぶ方がおられるように、多数の鉄道趣味ブログにリンクをしております。そのリンクの仕組みとしまして「MyBlogList」を使用し、リンク先で更新がありました際は原則として、リンク上位に表示されるようになっております。 その点で、痛勤形酷電さんのサイトにリンクを張ることができるかは、確認しなければなりませんが、前向きに検討させていただきます。
これからも、ご来場をお待ちいたしております。

投稿: Kaz-T | 2005.07.18 00:35

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