勝負師を乗せ続けて半世紀 ~日本最短距離列車が走る路線~
突然ですが、日本の鉄道で最長距離を走る列車は、博多~札幌を結ぶ高速貨物列車だそうです。また、旅客列車になりますと大阪~札幌を結ぶ寝台特急「トワイライトエクスプレス」とのことで、1497.5キロ(時刻表による営業キロより)を札幌行きは約21時間・大阪行きは約22時間かけて走ります。では、最短距離列車はどこになるのでしょうか?時刻表の営業キロ程を元に調べた結果、以外にも東京都内の私鉄路線にありました。これが今日の話題です。
その路線は、京王電鉄競馬場線と呼ばれる路線で、京王線東府中から府中競馬正門前までの営業キロ0.9キロの路線です。この区間を折り返す列車が「日本最短距離列車」(ケーブルカーやロープウェー・リフトなどを除く)となります。
さて、競馬場線とはどんな路線なのでしょうか?本日、乗車してみました。
東府中駅でこの線を折り返す府中競馬正門前行きに乗車します。今日は京王線系統でお馴染みの8000系8両編成が運用についていましたが、乗車していたのは自分を含めても10人は乗っていませんでした。
東府中駅を出発して程なく京王線とは左カーブで別れ、その後しばらく直線となりまして、右にカーブを過ぎると終点の府中競馬正門前駅になります。東府中駅から所要2分の行程です。
府中競馬正門前駅に到着した8000系 2005年4月29日 筆者撮影
ご覧頂いた画像は、府中競馬正門前駅の様子です。だだっ広いホームは閑散としていました。
ホームの売店も休業中 2005年4月29日 筆者撮影
府中競馬正門前駅舎も閑散としている 2005年4月29日
競馬場線という線名及び終点の府中競馬正門前という駅名が物語るように、この駅前には東京競馬場があり、競馬開催日には最近では女性のファンも増えてきましたが、これで一儲けをねらう「勝負師」たちが大挙としてこの駅を訪れ、競馬場入り口に向かっていきます。その帰りは儲かった人、負けて帰る人、悲喜交々の乗客を乗せて走ります。
普段は20分間隔で本線直通もなく区間運転に終始している競馬場線ですが、以前は競馬開催日に新宿から府中競馬正門前行きの臨時急行が走ったのですが、2001年3月のダイヤ改正で競馬開催日の臨時直通列車は帰りの時間帯の上り列車のみとなり、その代わり東府中駅に「特急」「準特急」が臨時停車し、接続する線内折り返し列車が増発されます。
今日は休日とはいえ競馬開催は無かったのですが、運用の都合なのでしょうか?8000系8両編成で運行されていました。では、平日はどうかといいますと、6000系2両編成のワンマン運転で運行されています。ちなみに京王で初めてのワンマン運転の路線になっています。
平日の競馬場線は6000系2両編成のワンマン運転 2005年4月27日 東府中で筆者撮影
競馬開催がなければただのローカル線の競馬場線。平日ならばなおさらなのですが、逆に閑散としているだけに、平日にはときおりコマーシャルなどのロケが行われています。よくTVCMで京王線でロケがされたCMが登場していますが、このロケ地として、府中競馬正門前駅でエキストラを集めた撮影が行われているようです。
さて、わずか0.9キロの競馬場線ですが本日、開業50周年を迎えました。
開業目的も「競馬場へのアクセス」というだけあって、これまで多くの「勝負師」を乗せて走り続けた競馬場線。これからも馬が走り続ける限り、勝負師を乗せて走り続けることでしょう。
本日「京王れーるランド」で発売された記念パスネット 筆者所蔵
(東府中・府中競馬正門前・他京王各駅での発売はありません)
その図柄は1962年ごろの2000系の臨時競馬急行
府中競馬正門前行きの「馬蹄」デザインのサボは5000系の方向幕にも継承された
5763 1994年秋 東府中で筆者撮影
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コメント
私の年代ですと、競馬場線といえば井の頭線から転属した両運のデハ1715単行の姿が思い浮かびます。ふっる~^_^;。
この駅の注目点としては、ホームから改札口、歩道橋を経て東京競馬場2階ゲートを経てスタンド2階まで完全同一平面となっている点でしょうか。バリアフリーを先取りした形ですが、狙いは大量の観客輸送での混乱を防ぐためだったのでしょう。でもバリアフリーが実は健常者にも優しく、効率性も優れたものということを実証しているとも見ることができます。
投稿: 走ルンです | 2005.04.30 00:33
こんにちは。府中競馬正門前は、競馬開催日になんどかお世話になったことがあります。開催日になるとそばやカレーの売店も開いて、大賑わいになりますね。開催日以外のワンマン運転のときは行ったことがないので、一度行ってみたいと思っていたところでした。
競馬場のスタンド改修前(3年くらい前?)までは、場内の窓口で帰りの切符が買えて便利でした。パスネットの普及やあれだけ広い施設に1か所ということで利用が少なくなってやめてしまったのだと思いますが、バリアフリーというか、利用しやすいシステムを作ろうという気持ちは感じられましたね。
投稿: shushu | 2005.04.30 05:21
懐かしい話です。もろ地元、それこそ20年の歴史を見てきました。単行時代から1700の2連、そして2600が区間運転に入りました。その後は意外ですが5000だった気がします(2000は実績なしだったような)そして6000になりました。
色々お話したいところもありますので自分のblogに続けます。7000の例と良い、本当にツボを押さえた記事はオールドファンにはたまらないです。
投稿: SATO | 2005.04.30 10:57
コメントいただきまして、ありがとうございます。
実は私もその昔は馬券を買っており、週末にはよく東京競馬場に行ってましたので、競馬場線にはよく乗りました。しかし、馬券があまりにも当たらないものでやめてしまってから、競馬場線はご無沙汰だったのですが、今回久々に訪れて「府中競馬正門前のホーム」はこんなに広かったのか、と改めて感じた次第です。
走ルンですさん>
単行で運行されていた時代は、私が生まれる前のことなのかもしれませんので、コメントは控えますが、おっしゃるとおりこの駅で電車を降りてから、スタンドまでは全く段差はないですね。GⅠレース開催日などで大勢の人が訪れるだけに、考えられた設備であると思います。
shushuさん>
競馬開催日となりますと、この記事になる売店や駅前の食堂もにぎわいますね。
たしかに競馬場スタンド内に、きっぷ売り場がありました。また駅でも開催日には臨時窓口が開かれ、硬券が発売されていたのも思い出です。
SATOさん>
地元で競馬場線の移り変わりをご覧になられたとのことですが、私自身も5000系の2両が方向幕を使わずサボで「東府中-府中競馬正門前」という表示で東府中駅で出発を待っていたのを見たことがあります。また、6000系の2両になってもこの当時方向幕に「東府中」がなかったのか、方向幕は「府中競馬正門前」で前面にサボで「東府中-府中競馬正門前」という姿を見た覚えがあります。その後一時期6000系の5両になった時期もあったように思いますが、その後2両のワンマン運転になりました。
京王のローカル線とはいえ、もう大レースの時期ですので、これからも競馬開催日はにぎわうことでしょう。
投稿: Kaz-T | 2005.05.01 23:12
府中在住です。日本一短い路線で、競馬場線が選ばれて大変光栄に思います。ちなみに、動物園線は長いのですか?
投稿: taka | 2005.05.12 11:31
takaさん、コメントありがとうございます。
以前、日比谷公園の鉄道の日イベントで鉄道日本一というパネル展示があり、その中に「日本最短距離列車」として、京王競馬場線があったと記憶しておりまして、この記事を執筆する際調べた結果、競馬場線に間違いないようでした。ただ、ケーブルカーやロープウェー・リフトなどでこれより短い路線がもしかしたら存在するのかもしれません。その際はご了承ください。
なお、同じ京王の路線で1駅区間の折り返しで運転される動物園線は、営業キロで2.0キロあります。また、同じように1駅折り返しの路線では東武大師線が1.0キロ、西武豊島線も1.0キロ、西武園線は2.4キロ、JR阪和線・羽衣支線(鳳~東羽衣)は1.7キロで、少なくとも普通の鉄道で、京王競馬場線の0.9キロを折り返す列車が最も短い距離を運転する列車のようです。
投稿: Kaz-T | 2005.05.13 00:25
皆様方、当ブログをご覧いただきまして、ありがとうございます。
さて、この記事を執筆後、実は京王競馬場線の区間運転よりもさらに短距離列車があることが判明いたしました。その路線は名古屋市営上飯田線で早朝・深夜に1本づつ運転されているレア列車なのですが、この列車が、「日本最短距離列車」(ケーブルカー・ロープウェー・リフトなどを除く)であることが発覚しました。
上飯田線開通は2003年3月であることから、これよりも前のイベントで掲出されていたデーターで京王競馬場線の区間列車を「日本最短距離列車」としてしまいました。
つきましては、taka様を初めとしまして、この記事で京王競馬場線の区間列車が、日本最短距離列車であると信じてしまった皆様には、大変申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。なお、この件の訂正につきましては、新たに本日付の記事としてアップしました。
なお、この記事につきましては、件名及び本文とも変更は行いませんが、上記の件、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。
投稿: Kaz-T | 2005.05.14 22:39