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2005.02.28

鉄道事業法の適用を初めて受けたリニアモーターカー

「愛・地球博」開催・東部丘陵線「Linimo」開業記念 特別連載企画 第4回

HSST-05
画像出展 HSST5号機のパンフレット

間が開いてしまいましたが、「愛・地球博」開催・東部丘陵線「Linimo」開業記念特別連載企画、「HSST」の歴史を振り返るシリーズの第4回目となります。今回は1989年になります。

この年は64年まで続いた「昭和」の元号が「平成」になり、また初めて消費税が導入されたりするなど、振り返りますと大きな時代の転換期であったと思われます。そんな中この年、現在では「ランドマークタワー」や「クィーンズスクエア」などの高層ビルが立ち並ぶ横浜の未来都市「みなとみらい21」地区で「Yes'89 横浜博覧会」が開催されました。横浜の未来を夢見て開催された博覧会でしたが、この会場にもリニアモーターカー「HSST」が走りました。HSSTの5号機になります。

横浜博HSSTは、さいたま博HSSTである4号機を継承して高架構造の軌道を走るのですが、5号機では2両連結になりました。2両で全長36.3m・幅3.0m・高さ3.6m・重さは2両で40t・定員も2両で158席で会場内軌道延長568m・時速45kmで走行しました。なお、今回は「三越」がスポンサーに付きました。

ここで、横浜博HSSTについて関するモノを公開します。

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横浜博HSSTのパンフレット

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横浜博HSSTの乗車券

上記2点、筆者所蔵

さて横浜博に出展されたHSSTは、これまでのHSSTは異なる画期的な方法で運行されました。
横浜博のHSSTは軌道の両端に「美術館駅」「シーサイドパーク駅」と存在し、両駅を結ぶ形で運行されたため「鉄道事業免許」を受けて運行され博覧会会期中とはいえ、磁気浮上式交通では初めての快挙を成し遂げました。この会期中は、営業キロで0.515キロのリニアモーター鉄道が横浜博会場内に存在していたことになります。

初めて「鉄道」として走ったHSST5号機ですが、博覧会終了後はどうなってしまったのでしょうか?


横浜博は自分の家族と親戚で行きました。今はなき東急東横線桜木町駅から、連絡通路を通って会場に入りました。今にして思えば、どんなパビリオンが出展されていたのかは思い出せず、今も存在している観覧車と「日本丸」しか思い出せないのですが、桜木町駅前にJR東日本が「夢空間」車両を展示していて、このほか、会場内を「SK」と呼ばれる動くベンチが運行されていたほか「そごう」から会場までを結ぶ「ゴンドラ」もあったように記憶しています。

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動くベンチ「SK」の乗車券 筆者所蔵

また、現在では「汽車道」として整備された鉄橋をとおり、博覧会会場と山下公園をレトロな気動車により「横浜博臨港線」が運行されていました。

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横浜博臨港線のレトロ気動車(横浜博臨港線パンフレットより出展 筆者所蔵)

この気動車は、博覧会終了後2編成とも東北の三陸鉄道に譲渡されたのですが、先日1編成は廃車になったそうです。

またこの当時、京浜急行電鉄ではこんな列車が運行されていました。

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当時の看板列車 2000形で運行された「ファンタジックトレインみらい号」
出展 2000年8月発売の「さよなら2扉2000形記念乗車券」に付属のポストカード 筆者所蔵

この博覧会が開催されてもう15年以上が経過し、博覧会会場だったみなとみらい地区は昨年、みなとみらい線が開業し、この博覧会で夢見た未来都市が誕生しました。かつて、この付近で磁気浮上式鉄道が初めて「鉄道」として運行されたという点を、何かしらの形で残せないものか、とも思います。


参考 HSST5号機のパンフレット


次回予定 本格的に実用化される日を夢見て・・・大江から


関連記事 東部丘陵線Linimoの祖先(2005年2月20日・第1回)
       博覧会に登場したHSST(2005年2月23日・第2回)
       続・博覧会に登場したHSST(2005年2月26日・第3回)

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コメント

初めまして。コメント失礼させて頂きます。
langsamをやっているkeloというものです。
今回、記事を書くに当たり、横浜博覧会のリニアモーターカーの話を取り上げたので、こちらの記事にトラックバックさせて頂きました。
よろしくお願いいたします。

投稿: kelo | 2005.03.26 21:04

keloさん、当ブログにようこそお越しくださいました。コメント・トラックバックを頂きまして、ありがとうございます。また、keloさんのブログも拝見させて頂きました。

自分が横浜博の時は高校生でした。現在は「ランドマークタワー」や「クィーンズスクエア」などといった高層ビルが立ち並ぶ未来都市になったみなとみらいで博覧会が開催されてから、もう16年になります。あのころ思い描いた未来に、今なったのでしょうか?

この博覧会でもリニアモーターカーは目玉でした。またそれまでのものと違い、地方鉄道法による免許によって「鉄道」として運行された、初めてのリニアモーターカーになります。

今のみなとみらいに、当時を偲ばせるものといいますと「観覧車」ぐらいしか残っていないと思われます。今一度、過去の博覧会の思い出にふけるのも一考かと感じます。

このブログは「リニモ」として陽の目をみたリニアモーターカー「HSST」の歴史を特別連載しましたが、基本的には鉄道専門のブログになっています。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: Kaz-T | 2005.03.27 22:07

この記事へのコメントは終了しました。

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