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2005.02.23

博覧会に登場したHSST

「愛・地球博」開催・東部丘陵線「Linimo」開業記念 特別連載企画 第2回

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画像出典 HSST3号機パンフレットの表紙

さて、先日より連載が始まりました、「愛・地球博」開催・東部丘陵線「Linimo」開業記念特別連載企画、「HSST」の歴史を振り返るシリーズの第2回目となります。

今年、愛知県で開催される「愛・地球博」は国際博覧会になります。日本ではかつて何度か国際博覧会が開催されていて、最初は1970年の大阪万博になりその後沖縄海洋博、航空宇宙博、神戸ポートピア博など開催されました。
しかし、大阪万博の時は私はまだ生まれておらず、沖縄海洋博などはまだ幼くまたほとんど遠いところで開催されたため、とても行けるところではありませんでした。

と、いうことで私が初めて行った博覧会といいますと、1985年に茨城県つくばで開催された「科学万博つくば’85」が最初になります。この記事をご覧になられている方で、30歳代以上の方でしたらご記憶があると思います。ロボットが繰り出すショーや色とりどりのパビリオン、そこに入るのに整理券をもらうのに並んだ思い出や、さらに広場に設けられた巨大テレビ、さらにここのタイムカプセルポストに投函した手紙が2001年になってお手元に届き、その当時を懐かしんだ方もいらっしゃることでしょう。早いものでこの博覧会からまもなく20年の歳月が過ぎようとしています。

さてこの科学万博をご記憶の方で、この会場内にリニアモーターカーが走行していたのを覚えていらっしゃるでしょうか?それが今日登場するHSST3号機になります。
HSST3号機はこの科学万博に出展するために製造されました。長さ13.8m・幅2.95m・高さ3m・重さ12t・座席定員48名で、会場内350mの軌道上を走行しました。

自分は父と弟と3人で行ったのですが、パビリオンはいずれも混雑で、でもなんとかHSSTには乗りたいと思い、整理券の列に1時間並んで乗車することができました。
ここで、科学万博に出展されたHSSTに関するモノを公開します。

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科学万博HSSTのパンプレット

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科学万博HSSTの整理券と“搭乗券”

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乗車した人全員に配布された記念ステッカー

上記はいずれも筆者所蔵

この時代もまだ日本航空がHSSTの開発に携わっていて、パンフレットなどにもその旨の記載があります。
実際に乗車してみた記憶では、最初浮上するのに少々時間が掛かった点と加速する時はスムースで静かだったような思い出があります。

さて、科学万博である意味シンボル的な存在であったHSST3号機ですが、開催終了後の翌年の1986年カナダ・バンクーバーで開催された「交通博」に出展・走行後、1987年に愛知県岡崎市の岡崎公園で開催された「葵・岡崎博」に出展され走行し、この博覧会終了後も1990年まで実際に走行して乗車することができたそうです。そして現在では、同じ岡崎市内の南公園交通広場に保存・展示されています。

と、いうことならば、ぜひ見に行ってみようと思いまして今年1月、中部国際空港開港にわく愛知県を訪れ岡崎南公園に行ってみました。
岡崎南公園は池やスポーツ施設・遊戯施設もある大規模な公園で、園内の案内図を見て保存されている場所へ行って見ますと、20年前つくばで見た雄姿が訪れるのを待っていたかのように鎮座していました。

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岡崎南公園に保存されているHSST3号機 2005年1月28日 筆者撮影

これが現在のHSST3号機の姿です。周囲を金網に囲まれ、車体も色あせていて窓も汚れてしまっていますが、それ以外は屋根のある場所で良好な状態で存在しています。隣にはD51蒸気機関車が展示されています。

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金網内にはホームもある 2005年1月28日 筆者撮影(金網にデジカメのレンズを入れて撮影)

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高速地表輸送機として解説板もある 2005年1月28日 筆者撮影

20年前、その存在にまた乗車して感動を与えてくれたHSST3号機がこのように現存しているということは、とても喜ばしいことではないかと思います。
HSST3号機は今も岡崎の地で訪れる人を待っています。

今年は愛知県で博覧会が開催され、同じ愛知県でこのHSSTから進化した東部丘陵線「Linimo」が開業します。愛知県で博覧会が開催されるのも、HSSTが「Linimo」として花開いたのも、なんとなく1987年にこのHSST3号機が愛知県岡崎にやってきたところから始まっているような気がします。ある意味「愛・地球博」開催の功労者なのではとも感じたところです。


さて、科学万博へは当時の国鉄常磐線で行きました。常磐線を走る415系が現在の塗装になったのは、この博覧会が契機になっています。また博覧会開催中は当時牛久~荒川沖間に臨時駅「万博中央」駅が開設され、上野から「エキスポライナー」号が走りました。また万博中央駅からは会場までシャトルバスが運行され、このシャトルバスは本邦初登場となった連接バスでした。
当時国鉄では、この万博開催にあたって各種記念きっぷが発売され中には「音が鳴る」「ランプが光る」など科学をイメージした仕掛けのものが発売されました。残念ながら私の手元にはこのような仕掛けのあるものは無いのですが、万博中央駅で購入した硬券の記念入場券がありますのでご覧下さい。

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科学万博開催記念入場券 筆者所蔵

この記念入場券を見ても「エキスポライナー」や「シャトルバス」が登場しており、入場券には万博のマークやイメージキャラクターだった「コスモ星丸」が登場しています。
万博中央駅は博覧会終了後廃止されましたが、その後1998年にほとんど同じ箇所に「ひたち野うしく」駅が開業し、シャトルバスが発着していたターミナルは近代的なニュータウンに生まれ変わりました。また「エキスポライナー」で活躍した415系は今も健在ですが、まもなくE531系という新型車が導入され置き換えられることになっています。さらに、会場跡近くに今年「つくばエクスプレス」という新路線が開業することとなっていて、20年前未来を夢見た場所は現在も発展しているようです。


参考 I LOVE EXPO'85 いん・ざ・科学万博 HSST
    HSST3号機のパンフレット


次回予定 続・博覧会に登場したHSST

関連記事 東部丘陵線Linimoの祖先(2005年2月20日・第1回)

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