【開設10周年コラム_2】記念きっぷ類のこれから
開設10周年を迎える弊ブログ、記念きっぷ類に関するコラム記事を連載しております。前回は記念きっぷ類が発売される事由について掲載いたしましたが、この記事では、今後記念きっぷ類はどうなるのかについて、自分の私的な見解となりますが、述べていきたいと思います。
まず結論から先に申しますと、今後廃れる方向に進んでいくであろう、と思われます。
その理由としましては、記念きっぷ類発売に際しての人員の手配が今後難しくなっていく、と思われるからになります。
昨今の働き手不足の波は、鉄道業界においても例外ではないと感じます。いわゆるコロナからの回復があるとはいえ、コロナ前までの需要には完全に戻りきらないという状況もある中、少子高齢化といった流れの中でかつ、働き方改革といった時代の波が鉄道業界にも押し寄せてきており、職員の確保が難しくなってきている実情があるのではないかと考えます。すでにJRにおいては窓口を閉鎖・削減は進んでおり、私鉄においても遠隔システム導入などで無人化が行われている実情もあります。
人が減ってきている中において、また窓口のみならず特設発売所を設ける方法において、それに向けられる労力の余裕はなくなってきているというのが実情ではないかと思います。(特設発売所を設ける方法の場合、販売する職員の他列を整理する方や案内する人も必要となるため、さらに多くの人手が必要で、場合によっては他駅・他部署からの応援も必要になるのではと思われます。)
また、昨今の乗車券システムの進化により自動改札機・自動券売機や指定席券売機などの機械化やICカードが普及し、今後は磁気券は廃止し二次元バーコードによる券やWebチケット、さらには一部私鉄において導入が始まっているクレジットカードによるタッチ決済による乗車サービスも始まっています。これら導入により駅も大きく変わり、一方でこれら売り上げなどのデーターもオンラインで即座にサーバーなどに記録されるシステムが導入されてきており、今後鉄道でもキャッシュレス・チケットレスという方向に進んでいくことは間違いないかと思います。そんな中で昨今ではWeb販売も導入されてきてはいますが、実質手売り・現金払いによる旧態の販売方法となる記念きっぷ類が、今の件数で推移していくとは思えません。
記念きっぷとは言いましても、実際は有価証券の扱いであり在庫管理は厳重に行われていると思われ、販売後の売り上げの現金の処理等も含めますと、今後積極的に記念きっぷ類を発売していくのかという点に疑問を感じます。
以上の点から「記念きっぷ類は部数を多く売ればそれだけ収入になる」という考えは昔の職員が多くいた国鉄時代の話で、今の時代では発売してもその分の労力で費やしてしまい収入増には結びつきにくい、ということが言えるのではないかと思います。
ところで、JR東日本では先日のリリースで「これまでの支社制から細分化して営業本部制として、さらにきめ細かく地域に密着し即応できる体制にする」旨の発表がありました。営業本部制になることで、小回りが利くようになって記念きっぷ類の発売件数が増えるのでは、ということも考えられなくはないのかもしれません。しかし、先に記述した内容と合わせて以下に記述する理由から、その可能性は低いと考えます。
記念きっぷ類の発売が廃れるという方向に向かうと述べましたが、記念きっぷ類に代わるものとして近年いろいろなグッズが発売されるようになりました。代表的なものとしては「クリアファイル」や「アクリルスタンド」「タオルハンカチ」、さらには昔からある「キーホルダー」や「筆記具」「ステッカー」などといったものがあげられます。また、沿線地域とコラボレーションしたオリジナルの名産品なども最近増えてきています。これらグッズは今ではコンビニエンスストアとなった駅構内の店舗で発売されることが多くあり、今後もこの傾向は強まると思われます。
この流れで記念きっぷが残るとした場合、それはきっぷの形をしたグッズとして乗車券等の効力を持たない「記念券」というものになるかと思われます。いずれにしても、必ず駅で発売しなければならないものではない、というものに変わっていくのではないかと思います。
いかがだったでしょうか。
蒐集鉄という趣味の自分が、記念きっぷ類の未来を考えた結果「廃れる方向」と結論付けてしまうのは、身も蓋もないことであると思います。しかし、鉄道に限らず今後未来を予測した場合、このような結論になるのではないかと感じます。
間もなく、弊ブログは開設10周年を迎えます。自分も遂にアラフィフを超えてしまいました。今後も自分が続く限り、蒐集鉄として記念きっぷ類を買い求めることは続くことになると思います。鉄道が歩んできて迎えた今日と「明日のDESIGN。」へ、記念きっぷ類でつなぐ弊ブログを今後もよろしくお願いいたします。
※本記事記載の内容は、あくまで私Kaz-Tの個人的な見解であることに御留意をお願いいたします。