1228.【京王】7000系車両入線記念乗車券
1986年に当時の国において「特定都市鉄道整備促進特別措置法」が制定されました。これは輸送力増強による線増や車両増結などの改良工事において、特定都市鉄道整備積立金として運賃に積み立て分を上乗せして、これら工事が完成後に積立金を取り崩して利用客に還元し、完成後の運賃上昇を抑えるというものです。この法律により定められた積立期間及び工事期間は10年とされました。
この時代ラッシュの混雑が激化の一途をたどっていた首都圏の私鉄各社においては、この制度を活用し1987年の運賃改定より積み立てを開始し、輸送力増強の改良工事が本格的に進められました。
そしてこの制度活用開始から10年が過ぎた1997年、車両の大型化や増結による輸送力増強工事を選択した京王では予定していたすべての工事が完了し、この年の12月28日の運賃改定で積立停止と積立金取り崩し分を合わせて9.1%の運賃値下げという快挙をなしえました。この快挙を支えた車両のデビュー当時に発売されましたアイテムを公開いたします。
===================
名称 :7000系車両入線記念乗車券
発行社局:京王帝都電鉄
発売日 :1984年3月9日
値段 :300円
購入箇所:吉祥寺駅
シリアルNo.:0043
===================
1984年3月に京王線に登場した車両は7000系になります。京王線系統では初のステンレス車体の車両になります。外観は6000系をステンレス車体とした感じで、電装品等は6000系とほぼ同じ界磁チョッパ制御になります。この車両は普通列車用として5両編成で導入され、この時代残っていた「グリーン車」と呼ばれていた2010系等を置き換えました。
デビュー間もないころ、この7000系に乗りたくてあえて普通列車に乗車したという思い出があります。
7000系登場時に発売された記念乗車券になります。地元の井の頭線吉祥寺駅で入手しました。登場時は前面は銀色、帯は臙脂色というもので、今日の姿とは異なっていることがうかがえます。
京王7000系は普通列車用として導入されたことから当初は5両編成でした。この時代の京王線系統の普通列車は2010系や5000系などの18m車体で6両編成でしたので、それに合わせてになります。その後輸送力増強で6両編成になり,、8両編成も登場しました。1987年頃からの8両編成での増備車からは、側面の鋼体がコルゲートからビード加工になり前面はアイボリーに、側面の幕部にも臙脂のラインが入りました。前面のアイボリー化は従前の7000系に波及しましたが、幕部の臙脂ラインはほどなくして撤去されました。その後も増備が続きましたが、1992年の8000系登場後も特定都市鉄道整備促進特別措置法により実施された普通列車の輸送力増強、10両編成化に向けて増備が続けられました。1993年に6両編成で残っていた編成の10両化により4両編成が登場、この年から朝ラッシュ時間帯で4+6の普通列車の運転が始まりました。翌年には8両編成の増結用に2両編成が登場、2+8の10両編成も出現しました。そして1996年にビード加工の車体で入線した8両編成5本を10両固定編成にするための中間車が入線し、総勢190両が導入されました。1993年以降に増備された車両の入線と各駅ホームの延伸等をもって、京王線系統の特定都市鉄道整備促進特別措置法を適用した輸送力増強工事は完了し、1997年の運賃値下げの快挙につながることになります。
元々は普通列車のサービス向上という目的で導入された車両であっただけに、この車両の優等運用はごくまれに平日の急行運用や休日の東京競馬開催時に運転される臨時急行ぐらいでしかなく、普通列車の運用に就くことが多かった車両になりますが、2001年のダイヤ改正からは6000系や8000系に混じって特急や準特急などの運用にも就くことになりました。
それ以降も7000系は変化を続けます。2003年頃から臙脂帯から京王のコーポレートカラーといえる赤と青のラインに変更され、また経年による更新とあわせてVVVFに換装され車内に案内情報装置が搭載されました。その後は編成替えが行われ10両固定編成化や4+6の10両編成も多くなり、一方で平日の競馬場線の2両編成のワンマン運転や、動物園線の4両編成のワンマン運転で「TAMA ZOO」トレインになった編成も出現しています。輸送力増強による増結や近年のVVVF化や編成替えにより多数の改番が発生しており、原車号・編成を追うことが困難な車両が多いという変化を遂げました。
地味ながらも京王線の輸送力増強に貢献した7000系、本年でデビューから33年が過ぎました。ステンレスの車体は更新も行われたこともあってそれほどの劣化は感じさせませんが、やはり経年により最近廃車が発生したようです。今後は徐々に姿を消していくことになる車両になるのかもしれません。